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第105回秦野物理サークル
                                 2011.7.18.発行
第105回秦野物理サークル報告

日時:2011年5月28日(土)14:00〜17:00
場所:伊勢原子ども科学館
参加者:稲葉一弘(伊勢原市役所 子育て支援課)、久保田信夫(立花学園)、志村潤子((株)ナリカ)、鈴木孝雄(一般)、塚本栄世(綾瀬西高校)
                                  計5名

【1】発表項目
(1)放射線の計測について(久保田信夫)...写真1〜写真9参照
(2)輪ゴムで紙を飛ばす(鈴木孝雄)...写真10〜写真13参照
(3)「バキューム バズーカ」の紹介(志村潤子)...図1、写真14、写真15参照
(4)(株)中村理科工業の古いカタログの版画で作ったイラスト原版の紹介(志村潤子)
   ...写真16〜写真18参照
(5)紙コップとストローでつくったオカリナ(塚本栄世)...写真19〜写真21参照
(6)音波の信号をつくるフリーソフト「Wave Gene Ver.1.40.」の紹介(塚本栄世)
   ...写真22、写真23参照
(7)DVDを反射型回折格子として用いた簡易分光器の実験
   −LEDを光源として使用−(塚本栄世)...写真24〜写真27参照
(8)宇宙エレベーターの本の紹介(塚本栄世)...写真28参照
(9)投稿1「奇妙な単位シーベルトSv」(菊池文誠)...資料1参照
(10)投稿2「原子力災害と放射線教育」(菊池文誠)...資料2参照

【2】発表内容
(1)放射線の計測について(久保田信夫)...写真1〜写真9参照
 サイエンスショーで一般の方に放射線の計測について紹介することになったということで、その内容についてみんなで検討しました。まず、ガイガーカウンター(写真1参照)を使った放射線の計測ですが、ガイガーカウンターをパソコンに接続し、ガイガーカウンターが1分間に受け取るベータ線やガンマ線の1分間当たりのカウント数cpmをパソコン画面にグラフ表示し、また、そのグラフを液晶プロジェクターを使って壁に拡大表示します(写真2参照)。この状態でしばらく放置すると、約20cpmの値(自然放射線の量、バックグラウンド)で安定します。次に、ガイガーカウンターを閃ウラン鉱(写真3参照、【参考1】参照)に押し付ける(写真4参照)と、計測値が急に増え、約200cpmの値を示すようになります(写真5参照)。この状態で、ガイガーカウンターと閃ウラン鉱との間にプリンター用紙(紙)、プラスチック製の物差し(写真6参照)、台所用アルミホイル、厚さ1cmの鉛の板を挟んで、放射線の遮蔽効果についての実験を行ないます。鉛の板の遮蔽効果が高いのは予想通りですが、紙1枚挟んだだけでもある程度の遮蔽効果があります。テレビ等で映像が紹介されることが多い放射線の防護服はいかにも薄く見え、「こんなもので本当に遮蔽効果があるのか?」と思われる方が多いと予想されますので、紙1枚やアルミホイル1枚でもそれなりの遮蔽効果があることを理解してもらうためには必要な実験であると思われます。また、ガイガーカウンターと閃ウラン鉱の間に何も挟まない状態で、両者の間の距離を大きくしていく(写真7参照)と、ガイガーカウンターのカウント数が急激に減る(距離の二乗に反比例する)ので、放射線を放射している物体から離れる程放射線量が低くなることがよく分かります。
 次に、シンチレーション・カウンター(写真8参照)をパソコンに接続し、「湯の華」(写真9参照)や花崗岩からも放射線が出ていることを示す実験を行なうことで、日常生活の中でもわれわれは放射線を浴びており、その程度の放射線では健康を害することはあり得ないことを強調したいとのこと。いわば「放射線を正しく怖がる」ことが大事であることを伝えたいということです。その後、ドライアイスのブロックの上に霧箱を置いて、放射線の飛跡を見せるという流れで進める予定とのこと。
 例会では、サイエンスショーが終了した後、希望する方を対象とした「サイエンスカフェ」を開いて一般の方が気楽に放射線について質問することができる機会をつくってはどうかという提案もありました。
【参考1】閃ウラン鉱について
 酸化ウランUO2を主成分とする鉱物で、ウランが崩壊した結果として少量のラジウムを含む。黒色で亜金属光沢、比重7.5〜9.7、等軸晶系。塊状の閃ウラン鉱(非晶質)のものをピッチブレンドという。ドイツの化学者マルティン・ハインリヒ・クラプロートがピッチブレンドから酸化ウランを精製し、1789年新元素としてウランを発見した。クラプロートはジルコニウム、セリウムの発見者でもある。
(2)輪ゴムで紙片を飛ばす(鈴木孝雄)...写真10〜写真13参照
 割り箸を2つに割った片方の木の棒に(写真10)のように輪ゴムを取り付け、その輪ゴムの端で小さな紙片を挟んで引っ張り(写真11参照)そっと離すと、紙片は勢いよく7〜8m以上飛んで行きます。少し固めの厚紙などであればよく飛ぶのは予想通りですが、錠剤を入れていた容器(写真12参照、ほぼ1cm角の正方形で、錠剤が入っていた透明なプラスチック製の部分はついたままの状態)のものも良く飛びます。また、面白いことに、パソコンのプリンター等に使うコピー用紙のようなやわらかい紙でも1〜2cm角の小さな紙片にすれば(写真13参照)よく飛びます。しかも、最初勢いよく飛んでいた紙片が急に失速してストンと落下します。ちょうどプロ野球のホームランの打球がスタンドに入る直前には失速して鉛直に近い角度で落下するのとよく似ています。空気抵抗の影響がどのように出てくるのでしょうか。
 動きが速いので余りよく分からないのですが、飛び出した紙片は水平面内で回転しながら飛んでいるようです。回転しているものは姿勢が安定しているので空気抵抗が少なくなり、よく飛ぶのは理にかなっていますが、動きが非常に速いので、高速度撮影でもしない限り運動の詳細はよく分かりません。
 この輪ゴムと割り箸で作った飛行道具で小型のブーメランを飛ばしてみたところ、よく飛ぶが戻っては来ないとのことです。例会では、ブーメランを手のひらに載せて、デコピン(人差し指で軽くはじく)するとブーメランが戻ってくるらしいという話もあり、小型のブーメランに対する力の加え方によって飛び方が違ってくるようです。
 紙飛行機などでも飛ばすものの大きさ、強度、飛び出す速さ等が適当な値でないとよく飛ばないようで、一定の条件を満たさないと安定して飛ぶことがないと言えます。紙片がよく飛ぶ条件を数値化することができればいいのですが、なかなか難しそうです。
(3)「バキューム バズーカ」の紹介(志村潤子)...図1、写真14、写真15参照
 掃除機の吸引力を利用してフィルムケースのような軽い弾を発射するバズーカ砲、名づけて「バキューム バズーカ」が紹介されました。その構造は、(図1)のように、透明なアクリルパイプのB部に掃除機を取り付け、C部に紙を押し付けてから掃除機のスイッチを入れると、掃除機の吸引力でアクリルパイプ内の空気が吸い出されて外部の大気圧に比べて圧力が下がった状態になります。この状態でA部からフィルムケースを吸い込ませると(写真14参照)、AからBまでは加速され、BからCまでは減速されますが、AからBまでの距離に比べてBからCまでの距離が短いため、吸い込まれたフィルムケースはかなりの速さでCに吸いつけられている紙を押しのけて飛び出していきます。当然、AからBまでの距離を長くするほどCから飛び出すフィルムケースの速さが大きくなります。今回紹介された「バキューム バズーカ」でも、本来はA部に接続する延長パイプがあるそうで、例会に持参するのにかさばるので持ってこなかったということです。この「バキューム バズーカ」の透明アクリルパイプはちょうど「ビースピー」の内径とぴったり一致するので、アクリルパイプのB部の近くに「ビースピー」をセットしてフィルムケースの速さを測定することができます。今回「ビースピー」でフィルムケースの速さを測定したところ、17.57m/sでした(写真15参照)。A部に延長パイプを接続すると「ビースピー」の測定限界である100km/h(=27.8m/s)を越えてしまうとのこと。
 例会では、フィルムケースの先端部の空気抵抗を減らすためにその場で手作りしたコーンを取り付けたり、C部の紙をサランラップにしてみたりしましたが、いずれも飛び出すフィルムケースの速さを速くする効果はなく、C部から飛び出す速さを大きくするには、以下の3点がポイントであろうと考えられます。
@アクリルパイプを長くする。
A吸引力の大きい掃除機を使う。
B弾(今回の場合はフィルムケース)とアクリルパイプとの間の隙間を小さくする。
(4)(株)中村理科工業の古いカタログの版画で作ったイラスト原版の紹介(志村潤子)
   ...写真16〜写真18参照
 中村理科工業の古いカタログに使われた版画で作ったイラスト原版が紹介されました。この時代は写真を印刷することができなかった時代で、写真の代わりに精密な版画の手法で製作したイラストが使われていました。木製の板に銅板を貼り付け、その銅版に精密なイラストを版画の手法で彫り(写真16参照)、おそらく活版印刷(箱の中に表面に文字や図を刻んだ板を並べ、それを原版にして印刷する)の手法でカタログの印刷をしたものと思われます。
 このイラスト原版を子ども科学館の実験室にある顕微鏡(画像をディスプレイ画面に拡大表示することができるタイプのもの)で観察しました。(写真17)はノギスのイラストで、等間隔の目盛が本当に正確に刻まれています。主尺と副尺(バーニア)が実に正確に刻まれていて、当時の技術の高さを示しています。(写真18)は方位磁針のイラストで、N極とS極が判別でき、その台座の様子も正確に刻まれています。
 例会では、以下のような感想や疑問が出され、今となっては正確な内容は調べようがないものもあるかもしれません。
@銅版に精密なイラストを描くのに使用した道具はどのようなものか(一種の針のようなもので銅版の表面を引っ掻いたのではないかと想像されます)?引っ掻き傷を深くするため、その後、強酸で表面を処理したのだろうか?
A銅版に精密なイラストを描いた職人さんは目に虫眼鏡のようなものを取り付けて作業したのではないかと思われますが、実際にはどのようなものを使ったのだろうか?
B銅版を木製の台座に接着するために使用した接着剤は何か?膠(にかわ)だろうか?漆(うるし)だろうか?
(5)紙コップとストローでつくったオカリナ(塚本栄世)...写真19〜写真21参照
 フィルムケースとストローを使っていわゆる「フィルムケース・オカリナ」(写真19参照)を作ろうとしたのですが、フィルムケースの入手が難しいため、紙コップで代用することができないか試してみたところ、なかなかいい音(フィルムケースを使ったオカリナでは高い音ですが、紙コップを使ったオカリナでは少し低い音です)が出たという報告です。作り方はフィルムケース・オカリナと同じで、紙コップの側面にカッターで幅5mm、長さ15mm程度の長方形の窓を開け、その窓の縁に息を吹きつけるようにストローを少しつぶしながらセロテープで貼り付けます(写真20参照)。紙コップの開いた側を手のひらで覆ってからストローをそっと吹くと、フィルムケース・オカリナより少し低い響きの良い音が出ます。このとき、紙コップの開いた側を覆っている手のひらを少しずつずらして開いている面積を大きくしながらストローで息を吹き込むと(写真21参照)、高い音が出ます。少し慣れると「ドレミファソラシド」を鳴らせるようになり、曲を演奏することもできるようになります。
 音が出る仕組みについては、紙コップの側面に開けた窓の縁に息を吹きつけると空気の乱れが生じ、いろいろな振動数の音波を含むいわゆるホワイトノイズが発生し、オカリナの形や大きさ、開いている窓の面積の大きさ等によって決まるある振動数で共鳴するためと思われます。
 なお、オカリナから出る音の高さは、オカリナ内部の空洞の体積に対する開いている部分の面積の比率によって決まるようですが、まだその理論は完成していないようです。
(6)音波の信号をつくるフリーソフト「Wave Gene Ver.1.40.」の紹介(塚本栄世)
   ...写真22、写真23参照
 (5)の「紙コップとストローでつくったオカリナ」の音が出る仕組みが、紙コップの側面に開けた窓の縁に息を吹きつけるとホワイトノイズが発生し、オカリナの形や大きさ、開いている窓の面積の大きさ等によって決まるある振動数で共鳴するためのようですので、オカリナの中にホワイトノイズを入れれば、開いている窓の面積の大きさを変えることによって音の高さを変えることができると思われます。そこで、ホワイトノイズの信号を発生させるフリーソフトがないものかとインターネットで探してみたところ、「Wave Gene Ver.1.40.」というフリーソフトがみつかりました。そのURLはhttp://www.ne.jp/asahi/fa/efu/soft/wg/wg.html
で、パソコンにスピーカーを接続するだけで、望みの振動数の音を出すことができます(写真22参照)。また、ホワイトノイズを出すこともできる(写真23参照)ようになっていて、当初の目的のために実験をしてみましたが、今のところオカリナの中にホワイトノイズを入れて、開いている窓の面積の大きさを変えることで音の高さを変えることには成功していません。
(7)DVDを反射型回折格子として用いた簡易分光器の実験
   −LEDを光源として使用−(塚本栄世)...写真24〜写真27参照
 DVDを反射型回折格子として用いた簡易分光器の実験です。今回は、LEDを光源として使用した場合にそのスペクトルがどのようになるか試してみました(写真24参照)。例えば、単スリットのすぐ上で青色LED(【参考2】参照)を光らせて肉眼でそのスペクトルを観察すると、青色だけではなく紫色や緑色も含まれていることが分かります。ところが、このスペクトルをみんなで観察するためにデジタル・ビデオカメラで撮影しながらその映像を大型テレビに映すと、デジタル・ビデオカメラのディスプレイ上でも大型テレビの画面上でも光の強度が大きい青色の部分は白色になってしまい、本来の色(この場合は青色)が分からなくなってしまいます。そこで、LEDの光だけではなく蛍光灯の光も同時に単スリット側から入れ、青色LEDのスペクトルと蛍光灯のスペクトルを同時に観察するようにすると、青色LEDのスペクトルの白色に表示されている部分が蛍光灯のスペクトルの何色に相当するかが分かるので、青色LEDのスペクトルの様子がよく分かります(写真25参照)。
 同様の方法で、赤色LED(【参考2】参照)のスペクトルを調べると、赤色を中心として橙色や黄色も含まれています(写真26参照)。また、緑色LED(【参考2】参照)のスペクトルは緑色を中心として青色、藍色、紫色やわずかではありますが黄色、橙色、赤色も含まれています(写真27参照)。以上のように、LEDのスペクトルはレーザー光に比べると、単色性がよくありません。
 今後は、白色LEDのスペクトルを調べたり(白色LEDは赤色、緑色、青色を同時に放射するタイプや黄色と紫色を放射するタイプ等があるようです)、赤色LED、緑色LED、青色LEDを同時に光らせた場合のスペクトルを調べてみたいと思っています。また、デジタル・ビデオカメラやデジタル・カメラが近赤外線や近紫外線にもわずかながら感度があることを利用して赤外線LEDや紫外線LEDのスペクトルを肉眼ではなく、デジタル・ビデオカメラのディスプレイ上や大型テレビの画面上で観察してみたいものです。
【参考2】
・赤色LED
 TOL-50aURsCEa 波長:628nm 光度:12000mcd 電圧/電流:2.25V/20mA
 指向特性:15度 メーカー:TAIWAN OASIS
・緑色LED
 E1L5-3G 波長:520~530nm 光度:5000mcd 電圧/電流:3.3V/20mA
 指向特性:30度 メーカー:豊田合成
・青色LED
 NSPB-500S 波長:465~475nm 光度:3460mcd 電圧/電流:3.6V/20mA
 指向特性:15度 メーカー:日亜化学
(8)宇宙エレベーターの本の紹介(塚本栄世)...写真28参照
 「宇宙エレベーター」(石川憲二(いしかわ けんじ)著、(株)オーム社、平成22年2月25日 第1版 第1刷発行)という本(写真28参照)の紹介です。宇宙エレベーターという夢のある話題を扱っていますので、大いに楽しめる内容です。宇宙エレベーターはアーサー・C・クラークのSF小説「楽園の泉」(1979年に刊行された)の中に登場しますが、未来の技術として扱われています。技術的な構想として世界で最初にそのアイディアを記録に残したのは、ソビエト連邦時代のロシアの科学者コンスタンチン・E・ツィオルコフスキー(1857〜1935)です。ツィオルコフスキーは現代の宇宙開発には欠かせない多段式ロケットや水素と酸素による液体燃料式エンジン等を考案し、「ロケット工学の父」と呼ばれています。ツィオルコフスキーの検討では、「将来鉄よりも強い素材が開発されれば、地上から宇宙に続く高い建物を...」という段階だったようですが、このツィオルコフスキーの発想をさらに拡大したのがソ連のユーリ・アルツターノフで、静止軌道上からケーブルを上下に延ばしていく建設方法の考案、カウンターウェイトのアイディア、宇宙エレベーターのシステムに含まれる宇宙ステーションの地球を回る回転運動エネルギーを利用して火星や金星への宇宙旅行をするアイディア等、宇宙エレベーターの構想に関する重要なアイディアを次々考案したようです。ただ、この時代はまだケーブルの素材として有望な材料は発見されておらず、所詮未来の技術に過ぎませんでした。
 ところが、最近、その実現性がかなり高まり、現実のものとなるのは時間の問題であると考える科学者や技術者が増えてきているようです。その中心となるものは軽くて強いカーボンナノチューブ製のケーブルです。特に、最近、連続的にカーボンナノチューブの繊維をどこまでも長くつくる技術が現れたことが大きいようです。
 現在考えられている構想によれば、宇宙エレベーターは赤道上の地表または海面から3万6000km上空の静止軌道ステーションからカーボンナノチューブ製のケーブルを地表の基地(「アースポート」)に向けて延ばすと同時に、地表から離れる方向にもカーボンナノチューブ製のケーブルを地表からの高さで10万kmまで延ばし、ケーブルの先端には遠心力による張力が生じるようにカウンターウェイトを取り付けます。静止軌道ステーションとアースポートの間のケーブルは地球による万有引力によって引っ張られ、また、静止軌道ステーションとカウンターウェイトの間のケーブルおよびカウンターウェイトには遠心力がはたらきます。結局、アースポートとカウンターウェイトの間のケーブルは全体としてピンと張った状態になります。このケーブルを利用して宇宙エレベーターが上り下りします。例えば、宇宙エレベーターが時速200kmでアースポートから静止軌道ステーションまで移動するには約2週間かかることになります。この宇宙エレベーターを利用して大量の物資を安く移動することが可能となるので、宇宙開発が急激に進むと考えられています。
 宇宙エレベーターでアースポート⇔静止軌道ステーション⇔高軌道ステーション(宇宙船発着基地、高度約5万km)⇔カウンターウェイトの間を行き来することができるので、例えば、高度約5万kmの高軌道ステーション(宇宙船発着基地)から相対速度0で切り離された宇宙船は地球の自転と同じ角速度で回転している高軌道ステーションの接線方向の速度
14,800[km/h](=約4.11[km/s])で宇宙空間に飛び出していくことができます。つまり、燃料の大幅な節約となります。従って、月の資源(核融合の原料となるヘリウム3やレアメタル)を得るために月面基地を建設したり、火星や金星の探査等を考えると、重要な飛行方法です。
 例会では、いろいろな質問や疑問が出されましたが即答できない内容のものが多く、今後の課題です。例会で出された質問や疑問を以下に列挙します。
・地表から約10kmの高度での風の影響がかなり強いのではないか?
・静止軌道上では人工衛星や宇宙デブリ(宇宙ゴミ)が多数あると思われる。宇宙エレベーターやそのケーブルとの衝突の危険がかなりあるのでは?
・ケーブルが切れた場合の安全策は?
・ケーブルが切れた場合、エレベーターが大気圏に突入することになり、燃え尽きてしまうのでは?
・ケーブルが切れた場合、そのケーブルの落下によって地上で事故が起きるのでは?
・静止軌道ステーションとカウンターウェイトの間でケーブルが切れた場合、どうなるのか?
(9)投稿1「奇妙な単位シーベルトSv」(菊池文誠)...資料1参照
 「奇妙な単位シーベルトSv」はすでに物理教育研究会に投稿され、掲載済のものです。今後の例会等で議論しましょう。
(10)投稿2(菊池文誠)...資料2参照
 「原子力災害と放射線教育」は物理教育学会に投稿中のものです。この投稿についても、今後の例会等で議論しましょう。

【3】会費について
今年度は会費を集めません。

【4】連絡先について
〒252−1123 神奈川県綾瀬市早川1485−1
神奈川県立綾瀬西高等学校 塚本栄世
TEL:0467−77−4251    
FAX:0467−76−8199    

【5】次回例会(第106回秦野物理サークル)について
7月23日(土) 14:00〜17:00
例会の会場は伊勢原子ども科学館です。

なお、今年度の例会日程は以下の通りです。
7月23日(土)
9月24日(土)
11月26日(土)
1月28日(土)
3月24日(土)
例会はいずれも時間は14:00〜17:00、会場は伊勢原子ども科学館です。
    
                                  文責 塚本栄世


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